エリザベート – Elisabeth

Posted on

“Sissi”の愛称で知られているオーストリア=ハンガリー帝国皇后エリザベート。この”Sissi”と彼女をとりまく人々のお話は、ウィーンミュージカルの代表的作品”エリザベート”として有名で、日本でも何度も上演されているので、ご存知の方も多いでしょう。この作品の曲は、どれもとても素晴らしく、このミュージカルを見てドイツ語を始めた方もいるほどです。

エリザベートは、自由を愛した女性でした。そのため嫁いだ王家のしきたりに縛られることを嫌い、姑皇太后ゾフィーとことごとくぶつかります。また、夫の皇帝フランツ・ジョーゼフはそんなエリザベートを、従わせようとします。

そんな中でエリザベートが歌う、”Ich gehör nur mir”。日本では『私だけに』と訳されていますが、厳密には『私は私だけのもの』という意味です。
この曲はあまりのも有名で、日本語訳もでているので、ここでは個人的に大好きな歌詞の一部を紹介しようと思います。

Ich wachse und lerne und bleibe doch wie ich bin
私は成長するし、学びもする。でも私は私のままであり続ける。

人は成長し、様々な知識を得ていくと、考え方、好みなどが変化することがあります。そして環境が変わると、本来の自分ではない形でその環境に合わせる、または違和感なくなじむ。言い換えるとその色に染まっていく。さらにポジティブにみるならば、そこから新たな自分を発見するなんてことがあります。

エリザベートは自身の内外における色々な変化の中でも、エリザベートのままでいることを望みました。自分は変わらないし、何物にも変えられない、と。”Ich gehör nur mir”にはそんな 彼女の気持ちがあふれています。そしてこの短いなんでもないような一文だからこそ、余計にエリザベートの深い思いを感じるのです。ミュージカル”エリザベート”を見たとき、私は自分の良き理解者に出会ったように感じまし た。そしてこの曲を聞くたびに思います。

Ich gehör auch nur mir…『私も私だけのもの…』

(記:ドイツ語講師 池嶌 千絵)