ヴァンパイア – Vampire

私の愛する”Vampire” (ヴァンパイア)(独;Vampir)とは、ご存知の通り、吸血鬼のことです。
夜、墓場から出てきて人間の生き血を吸い、夜が明けると再び墓場に戻っていく、伝説上の 生き物(?)です。
私達とヴァンパイア、何の関係もありませんし、第一ヴァンパイアに遭遇したこともありません。
でもそのヴァンパイアから学んだこと、感じたことを書いてみたいと思います。

ミュージカルといえば、まずブロードウェイを思い浮かべる方が多いかもしれませんが、ウィーンにも素晴らしいミュージカル作品があり、日本でも上演されています。そのウィーンミュージカル作品の1つが、”Tanz der Vampire” (ダンス・ オブ・ヴァンパイア)。ウィーン初演1997年、日本初演2006年、ロマン・ポランスキーの映画を原作につくられた作品です。

物語は、アブロンシウス教授とその助手アルフレードが、ヴァンパイアの調査のためにトランシルバニアを訪れるところから始まります。そこで出会った村人とのやり取り、ヴァンパイアに連れ去られた村の娘サラの救出劇、ヴァンパイアとの駆け引きなど、とても楽しい物語なのですが、実は奥深く、人間として考えさせられることが多く含まれています。

今回は登場ヴァンパイアの一人、”Graf von Krolog”(クロロック伯爵)が歌う”unstillbare Gier”(抑えがたい欲望)の 一部を紹介します。このクロロック伯爵、ヴァンパイアのくせにとても哲学的で、なかなか人間のことをよく理解しています。ただ生き血を吸うために人間を襲う、そんな単純な存在ではなく、色々なことを考え、悩み、そして人間に対して様々な指摘や警告をしてくれているのです。

Manche glauben an Kunst und Wissenschaft, an Liebe an Heldentum.

Jeder glaubt, dass alles einmal besser wird,

drum nimmt er das Leid in Kauf.
Viele glauben an Götter verschiedenster Art, an Wunder und Zeichen,

an Himmel und Hölle, an Sünde und Tugend und an Bibel und Brevier.

Doch die wahre Macht, die uns regiert,ist die schändliche,unendliche,

verzehrende,zerstörende, und ewig unstillbare Gier

人間というのは芸術や学問、愛や英雄的な行為を信じるものである。
また多くの人は、様々な神、奇跡、天国や地獄、罪や徳、そして聖書や祈りを信じて生きている。しかし我々を支配している本当の力、それは無限で破壊的で、恥ずべき永遠に抑えられない欲望なのだ。

そして最後に、クロロック伯爵様は私たちにこんな予言を残します。

Bevor noch das nächste Jahrtausend beginnt, ist der einziger Gott, dem

jeder dient,,, die unstillbare Gier

次の千年間が始まるまで我々が仕える唯一の神、それは欲望なのである。

”人間の血を吸いたい!”という欲望のまま、人間を襲う君に言われたくない…という気はしますが、ポジティブにもネガティブにも同意見の方も多いのでは???
個人的には、やりたい!と思ったことはやらないと気が済まないほうなので、少々耳の痛いメッセージです。
が、しかしそれが生きる活力になるのであれば、またそれもいいのかと、自分を正当化して過ごしている今日この頃です。

(記:ドイツ語講師 池嶌 千絵)


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